ここではカードゲームに使われているカードの雑学についてご紹介します。
複数人で遊べるカードゲームにはババ抜き、7並べ、大貧民、ポーカーなど様々なゲームがあり、やったことがある人が多いと思います。
カードゲームには相手のいない時にも遊べるカード占い、ソリティアなどもあります。
普段何気なくカードゲームに使っているカードですが、「ジャックって何?」「ジョーカーって何?」と疑問に思ったことはありませんか?
カードに描かれているジャックやジョーカーについて、またカードが生まれてから今日までの歴史についてご紹介していきます。
カードは中国で生まれた
茶、紙、花火、麺類など、中国から伝わったものはとても多くありますが、カードもそのうちの一つです。
最古のトランプカードは、唐の時代に骨や象牙から作られたタイル状のカードです。
このカードを使った遊びはドミノ、チェス、麻雀、サイコロゲームの代わりとして始まりました。
12世紀に紙が発明されると、中国人は竹、バトン、コイン、数字といったシンボルを描いた重い紙のカードを、混ぜたり配ったりしてゲームするようになりました。
中東でスート・フェイスカードが生まれた
トランプカードはすぐに中国から中東へ広まりました。
するとムスリムたちの間でトランプカードに新たにスートが追加されました。
スートというのはカードに使われているマークのことで、現在トランプにあるスートはスペード・ハート・ダイヤ・クラブ(クローバー)の4種類です。
4つのスートは、当時はコイン・カップ・剣・スティックなどでしたが、時が経つにつれて進化していき、現在のスペード・ハート・ダイヤ・クローバーになりました。
コインは現在のダイヤに、カップはハートに、剣はスペードに、スティックはクラブになりました。
当時のフェイスカードには、キング、クイーン、第二総督が描かれていたようです。
エジプトのマムルーク朝のカードは全部で52枚あり、4種類のスート、カードランクの1〜10の数字、3枚のフェイスカードが含まれていました。
フランスでスートのデザインが定着
トランプカードが14世紀にヨーロッパに伝わるまでに、様々なデザインのスートが生まれました。
花、熊、ウサギ、鷹、バラ、猟犬、猪など、その時代の文化の影響によって変化していきました。
スペインやイタリアでは、中東で生まれたコイン、剣、カップ、スティックのスートが引き続き使われていましたが、ドイツでは、ハート、鈴、葉、ドングリなどのスートが生まれ、東ヨーロッパでは、動物、楽器、剣、槍、薙刀などが描かれたようです。
ところが、ファッションでも有名なフランスで、現在のカードで見られるスートのデザインが生まれ定着したのです。
フランスでは当時から、4つのモダンなデザインのスーツが取り入れられていました。
スペード、ダイヤモンド、クラブ、ハートそれぞれのフェイスカードには、実際の歴史的人物が描かれていました。
キング
スペードのK – イスラエルのダビデ王
ダイヤモンドのK – ジュリアスシーザー
クラブのK – アレキサンダー大王
ハートのK – カール大帝(シャルル1世)
ハートのキングの雑学
4枚あるキングの中で、ハートのキングは唯一口髭のない王様です。
また頭に剣が突き刺さっているように見えることから、ハートのキングは「自殺キング」と呼ばれることもあります。
描かれているカール大帝が実際に自殺したわけではありません。
初期のカードではハートのキングは斧を持っていましたが、カードメーカーの印刷ミスによって斧の部分がなくなったことで、王様の頭に剣が突き刺さっているようなカードになったそうです。
クイーン
スペードのQ – アテナ(ギリシャ神話の戦いの女神)
ダイヤモンドのQ – ラケル(旧約聖書のヤコブの妻)
クラブのQ – アルジーヌ(ギリシャ神話の女王)
ハートのQ – ユディト(アッシリアの侵略からイスラエルを救った聖書のヒロイン)
ジャック
スペードのJ – オジェ(カール大帝の騎士)
ダイヤモンドのJ – ヘクトール(トロイの王子)
クラブのJ – ランスロット(アーサー王の騎士)
ハートのJ – ラ・イル(ジャンヌ・ダルクの戦友)
ジャックって?
当時フェイスカードには王、女王、そして王室の召使いが登場していて、この王室の男の召使いのことは「ネイブ(Knave)」と呼ばれていました。
この3人を初めはK、Q、Knと記されていたのですが、1864年にイギリスのトランプ製造業者だったサミュエル・ハートが「Kn」の代わりに「J」の記号を使って記したことがきっかけで「ネイブ(Knave)」が「ジャック(Jack)」として定着したのです。
スペードのエースだけデザインが凝ってる?
スペードのエースはカードの中でもとくに目立つと思いませんか?
他のエースはシンプルなのに対して、スペードのエースだけは大きくてデザインも凝っています。
この理由についてご説明します。
カードゲームが人気になると、ヨーロッパの統治者はより多くのお金を集める機会だと考え、カードに課税しました。
カードのデッキの包装紙にスタンプがされ、さらに各デッキのうち1枚のカードにもスタンプがされました。
これは、包装紙がはがされた後でも税金が支払われたことを示すためです。
1700年代、スペードのエースはデッキの一番上にあったので、スタンプがされる際にはほとんどの場合スペードのエースにされていました。
このことが始まりで、現在でもスペードのエースが一番目立つデザインとなりました。
ジョーカーって?
残念ながら、ジョーカーがどこでどう生まれたのかという確かな理由はわかっていません。
推測では、19世紀後半にアメリカで流行った切り札を必要とするゲーム「ユーカー」に由来してしているのではないかとも言われています。
ですが、このユーカーというゲームの切り札となるカードは「ジョーカー」と呼ばれているわけではなく「バウワー」などと呼ばれていて、デザインも様々に異なっていました。
現在のジョーカーのデザインは道化師(ピエロ)が定番になっていますが、古代エジプトで宮廷の人達を楽しませる役割であった道化師が、キング、クイーン、ジャックと並んでカードのデザインに使われるようになったようです。
ジョーカーとは英語で「おどけ者、滑稽者」という意味があるので、「道化師=おどけ者(ジョーカー)」という流れでジョーカーと名前がついたことも考えられます。
現代のデッキにもジョーカーは2枚含まれていて、大抵の場合は1枚は色付きのジョーカーで、もう一枚は白黒のジョーカーとなっています。
これはジョーカーを使うゲームにおいて、ジョーカーにさらに強弱をつけるためです。
まとめ
トランプカードは何百年も前の骨から作られたタイル状のカードから始まってから、現在のカードになるまで長い道のりを歩んできました。
K、Q、Jはそれぞれ顔や向きも1枚1枚異なっていて、細かいディテールにもそれぞれ独自の物語があります。
次回トランプカードに触れる際には、ぜひ今回のお話を思い出してみてください。