作家・黒川博行、競輪の思い出

 ギャンブル好きで知られる直木賞作家・黒川博行氏の連載『出たとこ勝負』ですが、それにまつわる、いまは亡き盟友と競輪の思い出についてご紹介します。

黒い川を渡って博打(ばくち)に行く

作家1

オンラインカジノって?

 博行という名をつけた船乗りの父親は、若いころ花札に負けすぎて、左の上腕に『花禁』というタトゥーを入れていたほどの博打好きだったそうです。父親とは小学生のころから賭け将棋をし、中学生になると、ほとんど負けることがなくなりました。芸大を出て大手スーパーに就職したころ、父親に誘われて賭場に行ったことがあります。種目は花札を使ったカブ。フダごとの博打にはイカサマがつきものであり、そんなもので素人がプロに勝てるわけがありません。ずっと見(ケン)をして金は賭けず、父親を残して帰りましたが、その一回だけの賭場見物がギャンブル小説を書く上で役立ちました。

ビギナーズラック

さっか2

ジャックポットを狙え!

 賭場のほかに一回だけ経験したのは競輪でした。2002年に立川で開催された“第55回日本選手権競輪”が思い出で、友人は選手の脚質とかライン、位置どりなどを懇切丁寧に解説してくれましたがさっぱりわかりませんでした。友人の勧め通りに舟券を買ったらそれが大当たり。まさにビギナーズラックでした。